2017年 09月 08日
Show the flag が許されるのは超大国アメリカだけ |
沖縄の米軍基地の移設・建設に対し,希少種保全の立場から反対を唱えておられる方少なからず.もっともだろう.ただ,米軍基地が絡むと反対運動が政治的かつ過激になるのは避けられないのだろうか?
もはや人類が本来の自然生態系の枠組みに収まりきれる個体数に戻るのは不可能だ.そうしたければ「間引き」するしかないが,人道的に許されるはずもない.人類は自然環境に大なり小なり負の影響を与え続ける存在だ.
地球上全ての自然を原始の状態で保全することはできない.となると,自然を保護したい側と開発したい側の間で交渉し,何らかの落としどころを探るしかないのである.もし「木1本切ること許すべからず」と言う方がおられるなら,その人にはスーパーで野菜や肉を買うことを拒否していただく必要がある.
話を沖縄に戻そう.沖縄をフィールドとして保護活動に従事している方なのだが,この人はブログその他で「米軍に抑圧される沖縄の虫に関心をよせない」大多数の虫屋をも攻撃対象にしている.なぜこいつらは沖縄の悲惨な現状に目を向けないのか,と言いたいのだろうが,北海道には北海道の,東北には東北の,北陸には北陸の,近畿には近畿のそれぞれで,希少種の保全に邁進されておられる方々がいる.保全すべき動植物は沖縄以外にもいる.にもかかわらず自分が活動対象としているものに対して無発言の奴ら許すまじ,との発想は,中立的態度は許さない,ようするに「Show the flag」という発想だ.
アメリカが「Show the flag」を他者に強制し,相手から内心反発を食らっても,その国際的地位が揺るがないのはアメリカが超大国だからである.そこまで力がない人間が他人に「Show the flag」を強要するならば,敵を増やすだけだ.そして開発側と取引交渉する際,ひいては保全実施そのものに有害な存在となるだけである.
by nanamisuzuka
| 2017-09-08 20:53
| 環境保全関係