2016年 11月 14日
形だけの環境審議会 |
越前市と鯖江市は隣接する市だ.だから,越前市由来の個体を遺伝的に問題はないだろう・・・・とのことだろう.
しかし,遺伝子の問題を考慮することはもちろんだが,それをクリアしたからと言って増殖個体の野外への放流は安易になすべきものではない.累代繁殖を繰り返した個体の遺伝子構成が野外個体群と異なるのかどうか,そもそも野生絶滅した原因を完全に排除することなく,再び放流したとしてもはたしてトミヨは定着するのか,などなど,様々な課題をすべて考慮したうえで再放流に踏み切ったとは,とても新聞記事からは読み取れん.指導を受けた専門家の名前が挙がっていないからだ.
それよりも気になったのは,当方曲がりなりにも県環境審議会野生生物部会長であることに加え,実はこの鯖江市の環境審議会委員の専門委員なのである.
その当方ですら,今回のトミヨの放流は寝耳に水である,この放流事業.環境審議会と言うものの実態が端的に表れている.
ようするに,環境審議会などと言うものは市民,県民に対し「役所としてきちんと専門家のセンセー方の意見を聞く場を設けていますよ」とのアリバイ作りにすぎない.審議会委員にああだこうだ文句を言われないよう,ほとんどの物事は事後報告か,ないしは完全スルーなのである.ここ5年間,ほとほと思い知らされている.
by nanamisuzuka
| 2016-11-14 19:10
| 環境保全関係