2016年 07月 13日
誰もが気づかぬふりをしている |
参議院選挙当日の深夜の討論番組にて.
今回の選挙の大きな争点となったわけではないが,親の経済格差による子の教育格差問題が取り上げられていた.
問題の設定自身は毎度おなじみのものだ.「親の経済力によって,子が受けられる教育に格差が生じてしまう.実際,東大生の親の平均所得は全国平均より明らかに高い.この問題を放置すると,次世代まで経済格差が固定化し,社会の活力が失われる」というやつである.
もちろん,当方とてこの手の問題の深刻さは頭では理解できている.しかし,今一つ釈然としないのが,有識者,新聞,政治家とも「子を東大に行かせられるような所得が高い親は,そもそも頭脳優秀である.親の優秀な頭脳が子供の学歴に影響するのは当然だ.単に金だけの問題ではない」との事実を全く無視している点である.
政治の力で親の経済格差を取り除き,全ての子供に優れた教育を施せば,その子供に無限のチャンスを与えることができる,との夢物語はお腹一杯だ.生まれつきの才能の差はどうしようもない.でも,有識者と呼ばれる人間は,誰もが知っているこの事実を頑なに言及しようとしない.
彼らが遺伝的格差に触れない理由は単純だ.税制度を改革すれば金融資産の国民への完全な再分配は物理的に可能だが,遺伝子資産だけは分配しようがないからである.
いくら問題提起しても解決手段がないのであれば,知らんぷりしておくのが社会通念と言うものなのか.
by nanamisuzuka
| 2016-07-13 18:38
| 時事ネタ