ムシユヌン |
さて,左の「ムシユヌン」だが,帯に「亜熱帯SF]と書いてある.より正確にはエログロ系SFと言うべきか.主人公は大学院入学のため5浪している.根っからの昆虫少年で,世渡り下手.はっきり言ってキモイ系キャラ.しかし,「昆虫博士になりたいんだ」とある意味純粋な思いを抱いている.しかし,院試の面接では虫好きならではの研究テーマを馬鹿にされ,試験に落ち続けている.その後,落胆したまま南の島に帰った主人公は,空から降ってきた宇宙昆虫に取りつかれて・・・・・てな感じのストーリー.エロシーン多し.
うむ~どうなんだろ.当方,昆虫学研究室志望の大学院試は20年前に自分が受験して以降,経験がない.虫に対する情熱を熱く語って,面接官に馬鹿にされると言うのは,実際の大学でありえるのか?研究テーマは確かに院試の合否に関係しないとは言わないが,そんなに重要ではないはず.テーマなんぞは入学してから指導教官と話し合って決めるものなのだから.しかし,いわゆる昆虫少年あがりの院生を高く評価しない,昆虫学界のえらい先生がいることは確かだけど(固有名詞は出さないが,自分の身近に1人いる).
いずれにせよ,「ムシユヌン」の設定は,ややリアリティに欠ける.漫画なのだから,それは別にかまわない.だが,どうにもこうにも絵柄が自分の趣味に合わない.漫画では,読み手は作品の情報の8割以上は絵から得るだろうから,その絵が気に食わなければ読むのはつらくなる.したがって,私は2巻以降は買わない気がする.とりあえず,昆虫好きの青年が,キモイ系キャラとして描かれていることはおさえておくべきだろう.
次に,「クワガタにチョップしたらタイムスリップした」の方.粗筋は拙著「アキバ系文化昆虫学」で紹介済み.非常に面白い作品.絵柄も自分の好みに合っている.2巻発売が楽しみだ.