2014年 08月 07日
福井県大野市九頭竜湖のウチダザリガニ(特定外来生物) |
九頭竜湖は広い.ウチダザリガニは湖にまんべんなくいるわけではない.特に,夏場は水深の浅いところでは捕れない.よって,例年8月にはウチダザリガニの捕獲調査は行っていなかった.しかし,今年は少しやり方を変えてみた.一昨日,湖を横断する橋の上からかご罠を湖底に下ろした.水深は 10 m 以上はあろう場所だ.
福井県内の漁業権のある水面では,許可なしにかご罠は使えないことが法令で定められている.自分は許可を持っていますが,そうでない皆さんは真似しないでくださいね.もっとも,かご罠を使うという漁法が法律に引っかかるのであって,湖の岸からスルメでザリガニを釣るのは自由です.
今日ウチダザリガニが捕れた.かご罠2個で 25 頭.北海道における捕獲数と比べればずいぶん少ないが,九頭竜湖ではこんなものだ.現状ではウチダザリガニは決して多いとは言えない.いずれにせよ,夏場はザリガニは深いところに避難するという小生の憶測は当たっているのかもしれない.このあたりの憶測については,「福井大学地域環境研究教育センター研究紀要 日本海地域の自然と環境 第 19 号(2012)」に発表済み.興味のある方はどうぞ.
今のところ,ウチダザリガニは九頭竜湖内に留まっており,九頭竜川には流出していない.聞くところによれば,湖と川を隔てる巨大ダムにはタービンが備えつけられ,大型の動物が五体満足で湖から川へ流れ出ることは極めて難しいのだそうだ.しかし,今後,ウチダザリガニの個体数が増えると,稚エビがダムを突破してしまうかもしれない.そのリスクを未然に察知するためのモニタリング調査なわけだ.
公式には,自分は「ウチダザリガニが九頭竜湖で繁殖しているとの確実な証拠はない」と発言している.卵や稚エビをいまだ見ていないからだ.しかし,頭胸甲長3cm程度の若齢個体は少なからずいるので,まあ繁殖はしているだろうな.
本日,頭胸甲長が7cmを越えるオスが複数個体捕れた.今更ながらウチダザリガニのオスは,はさみがでかいのう.これぐらい大きな個体だとはさみの中の身も食うことができたりする.
by nanamisuzuka
| 2014-08-07 20:31
| 環境保全関係