2016年 05月 07日
国難である(2) |
「国内問題は自分らの意思一つで片づけられるけれど,外交の失敗は国家 100 年の災いとなる」との,とある日本海軍提督の言葉がある.
昨今の日本外交の困難な状態(と言ってもその8割は対中国問題であるが)を鑑みて,ど素人ながら明治維新後の国防・外交はどうあるべきだったかを考えてしまう.
明治維新直後は「海主陸従」といって,日本は島国だから海軍だけ所持していれば国は守れるとの国防論だった.その後の歴史では国防は「陸主海従」となり,日本は大陸に打って出たことは言うまでもない.
仮に明治維新後,日本は大陸には経済進出だけはかり,現在のように主要四島だけを保持していれば日本近代史はどうなっていたか.中国や韓国の恨みを買うことなく,友好的な東アジア共同体が結成されていたのではないか・・・・などと楽観的な考えが一瞬浮かんでくる.
でも,その場合,明治日本はロシアの南下・侵略を防ぎえたのであろうか.また,日本が中国を侵略しなかったら,現在の中国は日本の友好国たりえたのであろうか?自分はそうは思わない.中国は周王朝以来,常にアジアの覇権国家だった.清朝末期~中華民国時代は中国が被侵略国家だった極めて例外的な時期にすぎない.
結果から言えば明治以降の日本外交は適切ではなかった.しかし,日清戦争以降の中国侵略がなかったとしても,現在の中国が日本に友好的で,牙をむくことは一切ないとは到底思えんな.中国が日本を大なり小なり影響下におこうと古来よりふるまってきたのは歴史が証明している.国同士の付き合いが殆どなかった江戸時代と,日中の国力が逆転した明治~昭和初期がそもそも異常な時代なのである.
近代日本の歩みがどうであったとしても,結局は未来永劫,対中国外交で悩み続けなければならないのは,日本の地勢上やむを得ないのではないか・・・,などと悲壮な結論になってしまった.
by nanamisuzuka
| 2016-05-07 19:50
| 時事ネタ