2016年 02月 29日
ニホンカワウソは日本固有種か |
2月27日付朝日新聞で興味深い新聞記事を発見.
DNA解析により,高知産ニホンカワウソは樺太や朝鮮のカワウソとは意外と進化的距離があり,130万年には分化していた.ニホンカワウソはつまり大陸産カワウソとは別種である可能性が高いというのだ.なお,神奈川産カワウソは中国産個体とは近い位置にある.
新聞記事だけ読むと,四国のカワウソ=日本固有種,関東のカワウソ=大陸と共通種と理解してしまうが,まさかそんなことはあるまい.新聞記事は「DNAを採取した神奈川産個体は大陸のカワウソの一部かもしれない」と要領を得ない説明に終始している.ようするにDNA分析に使われた神奈川産カワウソは養殖のため大陸から導入された個体という意味なのか?・・・・・記事だけではよくわからん.
さて,そんなことよりも,自分が関心を持ったのは,仮にニホンカワウソ固有種説が今後の動物学会で有力と認められるとすれば,カワウソ導入計画に与える影響があるか、である.大陸から北海道へカワウソを導入せよとの意見があるが,もしかつて北海道に生息していたカワウソもまた日本固有種だったとすれば,導入計画に対して大きな向かい風となる.
北海道へのカワウソ導入に対し推進の意見を述べている,とある専門家の主張をネット上にて拾う.ここにはカワウソ導入後に予想される漁業被害については被害補償せよ等の意見が連なるが,コストについて何も書かれていないのはいただけない.大陸からカワウソを借りてきて(or 貰ってきて),人工増殖して,野生復帰できるように訓練して,と一体どれだけの金がかかるのか.絶滅種をむりやり復活させる銭があるなら,現在何とか生きながらえている希少生物の保全に回すべし.無駄金はトキとコウノトリで十分間に合っている.
そういうわけで,ニホンカワウソ固有種説は大変よろしい.
by nanamisuzuka
| 2016-02-29 19:12
| 環境保全関係