2015年 02月 15日
福井の原発再稼働反対について思うこと |
原発再稼働反対の署名約 20万人分を集めた福井県内外の市民グループ80余名が,同月13日福井県庁を訪れた.市民側は80人全員立会いのもとで西川県知事に直接署名を手渡すことを要求したが,県側は代表者4名と市民20人のみの立ち合いで,県安全環境部企画幹が会議室で対応すると回答した.その後,一時間以上の交渉の末,県側は80人全員が会議室に入る事を了承したが,彼らが県知事に直接署名を渡すことは拒んだ.結局,市民グループは署名を提出することなく帰ったという.
代表者4人と市民20人が会議室に入るべしとの県側の主張は極めて常識的であり,穏当なものだ.100人近い人間が会議室に入ってしまえば収拾がつかなくなることは目に見えている.誰が会議室に入るかの話し合いは1時間以上も続いたと言うが,終始冷静な交渉だったか,もしくは怒声が飛びかったか.自分はその場に居合わせていないが,どちらだったかは容易に想像がつく.今度,県の環境審議会が開かれるから,その折にでも安全環境部の方に当日の様子を聞いてみよう.
県知事に会わせろと言うのもあまりに無茶で横暴な要求だ.この手の団体は,少数意見だろうが多数意見だろうが市民の意見を行政は尊重すべしとの主義を持っているから,その考えに従うと数人分の署名だろうがウン十万人の署名だろうが,県知事はその都度直接対応しなくてはならないことになる.知事の仕事は署名を受け取ることだけにあらず.
それにしても,この手の団体の活動を見て思い返されるのが,数年前沖縄県庁に陣取った市民グループのことだ.防衛省が辺野古への基地移設に関する環境アセスの書類を沖縄県庁に運送しようとし,それを市民グループが阻止した騒動だ.ニュース番組では,活動家たちが防衛省の書類を運んできたクロネコヤマトの宅配車を大多数で取り囲み,ドライバーに「帰れ!」「ここは通せないよ!」と好き勝手に怒声を浴びせていた様子が映し出されていた.
このクロネコのドライバーの方に何の罪があろう.ああいった活動家たちは「友達ではない他人に対しては,ですます調で話すべき.また罪なき人を多数で取り囲んで威圧してはいけない」との社会の初歩の初歩の常識が伴っていない連中と思われても仕方がないし,実際そうなのだろうと思う.
自分が基地移設反対団体の代表なら,同志に手を繋がせて,一列だけで県庁への道路を封鎖する.侵入を阻止するだけならこれで十分だ.宅配車を囲むなどの示威行動は取らない.そして,一人でドライバーの元へ行き,「こうこうこういう事情で防衛省からの書類の県庁への運搬を阻止しています.誠に申し訳ありませんが,このまま帰っていただけないでしょうか」と頭を下げる.もしテレビカメラが回っているなら,土下座をするというパフォーマンスも付け加える.こう考えるのは,別に自分が特別謙虚だからではない.そうした方が沖縄県外の人間の支持を集める際にトクだからだ.
原発再稼働にしても基地移設にしても,過激な反対運動を起こす輩が増えると,一番迷惑するのは行政側ではない.最も困るのは穏当かつ科学的理論的根拠に基づいて反対をされている人々だ.過激な輩と同類と思われてしまい,反対論そのものが一般大衆の支持を失いかねないからである.今回,「西川県知事に会わせろ」と県側に強要した団体は,こんな簡単なことがわからないようだ.不思議でならないのう.
そういや,かつて自分は本学に視察に来ておられた西川知事とばったり出くわしたことがある.「県が進めているコウノトリ放鳥事業はおかしいのではないですか!!」と直談判しようと思わないでもなかったが,それは失礼だろうと思い断念した.
by nanamisuzuka
| 2015-02-15 12:35
| 時事ネタ