2014年 10月 25日
入試制度改革に絶対反対 |
本日の朝日新聞の一面に,大学入試制度改革に関する記事が掲載された.詳細は割愛するが,ようはペーパー試験重視の現行の入試制度を,人物重視(プレゼン能力,意欲,資格など)の制度に変えると言うものだ.
拙書「アキバ系文化昆虫学」でも書いたが,自分はこの入試制度には絶対反対だ.いつぞや(約半年~1年前?),朝日新聞に早稲田大学の先生の入試制度改革に対する見解(すいません.名前は失念した)が載ったことがある.この先生の意見をかいつまんで書くと「人物重視で合否を決めるというが,結局は家柄重視だ.家柄は受験生個人の努力ではどうにも変えることができない.学力試験の方がまだ公平性が保てる.芸術コースを除き,なぜ音楽の実技が大学入試の試験科目にないのか?それは,数学や英語よりも,子供への音楽教育が親の経済力や意識により強く影響される不公平なものだからである」というものだった.
この早稲田大学の教授の意見に,自分は全面的に同意する.当方が勤務する課程は女子学生が圧倒的に多いので,以下,必然的に女子に限定した話になることをご了承願う.
時々,我が課程からは「就活における内定の女神」なる女子大生が輩出される.1~3回生のことから学外の活動に活発に取り組み,4回生時には超人気企業の内定をいくつも取ってしまうという,文字通り就活のカミサマである.で,この女神たちの共通点の一つとして「容姿が良い」というものがある.
容姿に優れれば友人が多くできる.よほどの偏屈者でないかぎり,異性にちやほやされれば当然のことながら他人に対して優しくふるまうようになり,結果的に人柄が練られる(=コミュニケーション能力が高まる).彼女らが就活に有利になるのは当然だ.別に企業側が顔で内定者を選んでいるわけではあるまい.当方の10数年の教官生活の経験則でいえば,最後まで就活に苦戦する女子のほとんどは容姿面で劣り,他人との会話が苦手な子ばかりだ.「美人だが引っ込み思案」という女子は,少なくともうちの生徒で見たことがない.
受験生の意欲やプレゼン能力が,本人の努力ではいかんとも動かしがたい容姿や家庭環境に影響されることは疑いようがない.一方,このブログで度々述べているように,学力とて遺伝的要因を強く反映することは確かだ.しかし,学力成績というのは「地頭があまりよろしくなくても,猛勉強することで個人の努力でカバーできる」ないしは「事実はどうあれ,学力試験は頑張れば誰でもいい点が取れると世間が思っている」ものなのだ.
競争社会ゆえ勝ち負けが出ることは避けようがない.しかし,社会の活力を維持するためには,敗者側が「自分の努力が足りなかったから負けたのだ」といい意味で諦められるようにすることが望ましい.家柄重視による大学の合否判定だと,敗者側が負けを自己責任と認識できずふてくされるだけだ.現行のペーパー試験は不合格者が「まあ,自分は遊んでばかりいて勉強しなかったからなあ」とある程度結果に納得できるものなのだ.少なくとも,コミュニケーション能力とやらよりは.
今回の入試制度改革では,アニメや美少女ゲームに必須の「グリグリ眼鏡で三つ編み,図書室にこもって勉強ばかりしている超根暗っ子(※)」タイプが評価されなくなってしまうではないか.
国立大学の教官として,今回の入試制度改革に徹頭徹尾反対する.
※この手のキャラは,眼鏡を外し髪を下ろすと実は絶世の美少女でしたというのがお約束
拙書「アキバ系文化昆虫学」でも書いたが,自分はこの入試制度には絶対反対だ.いつぞや(約半年~1年前?),朝日新聞に早稲田大学の先生の入試制度改革に対する見解(すいません.名前は失念した)が載ったことがある.この先生の意見をかいつまんで書くと「人物重視で合否を決めるというが,結局は家柄重視だ.家柄は受験生個人の努力ではどうにも変えることができない.学力試験の方がまだ公平性が保てる.芸術コースを除き,なぜ音楽の実技が大学入試の試験科目にないのか?それは,数学や英語よりも,子供への音楽教育が親の経済力や意識により強く影響される不公平なものだからである」というものだった.
この早稲田大学の教授の意見に,自分は全面的に同意する.当方が勤務する課程は女子学生が圧倒的に多いので,以下,必然的に女子に限定した話になることをご了承願う.
時々,我が課程からは「就活における内定の女神」なる女子大生が輩出される.1~3回生のことから学外の活動に活発に取り組み,4回生時には超人気企業の内定をいくつも取ってしまうという,文字通り就活のカミサマである.で,この女神たちの共通点の一つとして「容姿が良い」というものがある.
容姿に優れれば友人が多くできる.よほどの偏屈者でないかぎり,異性にちやほやされれば当然のことながら他人に対して優しくふるまうようになり,結果的に人柄が練られる(=コミュニケーション能力が高まる).彼女らが就活に有利になるのは当然だ.別に企業側が顔で内定者を選んでいるわけではあるまい.当方の10数年の教官生活の経験則でいえば,最後まで就活に苦戦する女子のほとんどは容姿面で劣り,他人との会話が苦手な子ばかりだ.「美人だが引っ込み思案」という女子は,少なくともうちの生徒で見たことがない.
受験生の意欲やプレゼン能力が,本人の努力ではいかんとも動かしがたい容姿や家庭環境に影響されることは疑いようがない.一方,このブログで度々述べているように,学力とて遺伝的要因を強く反映することは確かだ.しかし,学力成績というのは「地頭があまりよろしくなくても,猛勉強することで個人の努力でカバーできる」ないしは「事実はどうあれ,学力試験は頑張れば誰でもいい点が取れると世間が思っている」ものなのだ.
競争社会ゆえ勝ち負けが出ることは避けようがない.しかし,社会の活力を維持するためには,敗者側が「自分の努力が足りなかったから負けたのだ」といい意味で諦められるようにすることが望ましい.家柄重視による大学の合否判定だと,敗者側が負けを自己責任と認識できずふてくされるだけだ.現行のペーパー試験は不合格者が「まあ,自分は遊んでばかりいて勉強しなかったからなあ」とある程度結果に納得できるものなのだ.少なくとも,コミュニケーション能力とやらよりは.
今回の入試制度改革では,アニメや美少女ゲームに必須の「グリグリ眼鏡で三つ編み,図書室にこもって勉強ばかりしている超根暗っ子(※)」タイプが評価されなくなってしまうではないか.
国立大学の教官として,今回の入試制度改革に徹頭徹尾反対する.
※この手のキャラは,眼鏡を外し髪を下ろすと実は絶世の美少女でしたというのがお約束
by nanamisuzuka
| 2014-10-25 14:12
| 時事ネタ