2014年 09月 24日
ウチダザリガニの調査 |
今週,九頭竜湖およびそれに繋がる河川でウチダザリガニの生息調査をした.
結果は去年と全く一緒.つまり,「ウチダザリガニは九頭竜湖内には低密度(?)で生息しているが,湖より下流に位置する九頭竜川本流および九頭竜湖に注ぎ込んでいる渓流域には侵入していない」というもの.ようするに,ウチダザリガニは九頭竜湖内に閉じ込められているとまとめることができる.
取りあえず良かったと言うべきだろう.毎年,自分が調査で仕掛けるかご罠の捕獲圧程度ではウチダザリガニが減るはずもなし.よって,例年通り,かご罠1個あたり5~10匹程度が捕れた.一回の調査につき,かご罠10個ではウチダザリガニの個体数の爆発的な増加が起きないかぎり,個体数の年次変動の追跡はできんわな.結局,自分の調査は上述のとおり,「ウチダザリガニは湖から周辺河川に流出しているか否か」だけを調べているにすぎん.でも,自分は湖沼生態学者にあらず.ボランティアで調べるなら,これぐらいの調査が限度っす.
北海道の事例を見ると,ウチダザリガニがもたらす被害は主に生態系に対するものであって,内水面漁業はあまり関係なさそうだ.となると,越前の県庁水産課がウチダザリガニ対策に本格的に乗り出さないのもわからないではない.予算ゼロで自分が細々とモニタリング調査をしているわけだが,果たしていつまでできるかわからない.いずれにせよ,行政がカネを投じて捕獲に乗り出さないかぎり,ウチダザリガニの駆除が行われることはあるまい.九頭竜湖には一応,内水面漁業の権利を持つ漁協があるが,琵琶湖とそれとちがい,それを生業にしている人はいなさそうだ.漁協の方にボランティアでウチダザリガニを捕ってくれ,などとは誰も頼めない.
九頭竜湖にはウチダザリガニのほかの特定外来生物として,コクチバスがいる.コクチバスはウチダザリガニを食うことにより,抑圧的な影響を与えることが多いと聞いたことがある.となると,ウチダザリガニの発生は一時的なもので,4,5年たったら湖から消えていました,となれば良いが,そううまくいくまい.
九頭竜川で仕掛けたかご罠には,イシガメがたくさん入ってしまった.もっとも,今回は2日間で罠を回収したせいか,どなたのイシガメも窒息死させずにすんだ.自分はカメと言う生き物が基本大好きなので,調査のためとはいえ大量虐殺してしまいました,となると目覚めが悪いのである.イシガメの皆さんは,無事川へお帰りになった.めでたしめでたし.
by nanamisuzuka
| 2014-09-24 19:23
| 環境保全関係